『やあ、気がついたかな?ずいぶんと激しく逝っちゃったね。(笑)』
「あうう。!?」
返事をしようとして、口の中の異変に気が付いた。舌が動かせないのは変わりない。舌カバーがあるため気付かなかったが、話そうとして喉に異物を感じたのだ。
(何かが口の中に、そういえば少し息苦しい。)
手で顔を触って、マスクされているに気付く。
(あれいつの間にかマスクされてる。意識ない間に付けられたのかな。)
と智美が手でマスクを確認したのを見て彼が、
『そうそう、悪いけどマスクさせてもらったよ。何せ涎がひどくて拭いて綺麗にしようとしたんだけど、口紅が伸びて口回りがひどい状態になっちゃってさ、そのままでは目立つから苦肉の策でマスクさせてもらったんだよ。』
と言いながら手に持った口紅で染まったハンカチを見せて説明をしてくれた。
智美は、
(それなら普通のマスクでもいいのでは?)
と思ったが、話せないので反論も出来ず黙って頷こうとして下に向けた時、涎を垂れそうになりあわてて呑み込もうとするが、先程までと違い、喉の奥まで侵入してきている何かが痞えて唾液が呑み込めない。慌てて顔を上に向け涎が垂れないようにして状況を訴えようと話そうとするがそれも出来ない。
それを見ていたYが、
『あら、唾の見込めなくなったのかな。飲み込めないとまた涎が垂れ流しになっちゃうね。』
と嬉しそうに的確に状況を指して聞いてきた。
(それを狙って、これつけたのね。)
そう思ったときは後の祭りで、
(勝手に外したりすると起こられるし、また人前に恥ずかしい顔をさらすことにもなる。)
とか考えていると、Yが
『唾が飲めなくて大変でしょ。助けてあげるよ。とりあえずペットボトルが一杯になったから、先にまた新しいのに交換するね。』
といって、腰にぶら下がっているボトルの上についている蓋に刺さったパイプを抜き空のボトルに交換した。新しいペットボトルの蓋は、先ほどのパイプ差込口が一つしかなかったが新しい蓋にはパイプを差し込む穴が二つ開いたものであった。
取り外したペットボトルにタグを貼り付け、そこにボールペンで「智美のおしっこと愛液のブレンド」と書いて大事そうにカバンに仕舞い込んだ。カバンの中には「智美のおしっこオリジナル」とタグの貼ったペットボトルがすでに入っていた。
『さて、交換すんだし、その涎処理できるようにしてあげるよ。』
Yがカバンの中から、片方に小さな箱型のボックスが付いたパイプを智美に見えるように取り出し、
『これがなんだか大体想像付くよね。』
といってボックスの付いていないほうのパイプの先端を、マスクの横から出ているアタッチメントに差し込んで、ボックスが付いたほうの先端のパイプをペットボトルのもう一つの差込口に繋いだ。
『あとはこれを。』
と片方に押しボタンもう片方にピンジャックのついたコードを取り出し、ピンジャックをペットボトルに繋いだパイプに付いたボックスにある穴に差込み、ボタンを押した。
その瞬間ボックスあたりから静かなモーター音がして口の中の唾液が吸い取られペットボトルの中へと流し込まれていく。
『なんかその状態じゃ、お茶っぽくないね。』
と言って彼はポケットの中のリモコンボタンを押し、プラグの弁を開いて膀胱内の残った尿を開放した。
弁が開放されると同時に、排泄感を感じさせる電気パルスも発生し、智美は突然強制的に排尿している感覚に襲われた。突然意図せず排尿させられる感覚に戸惑いはあったが、ゾクリとした変な感覚を認識し、
(私おしっこで感じている?)
と戸惑いを感じたところで弁が閉じられ排尿感は感じられなくなり、中途半端に刺激された感覚だけで物足りなさをも感じていた。智美が感じていたとは露知らず、智美に話しかけた。
『これでまたお茶っぽく見えるようになったね。それとこのボタン押せば唾は吸いだされるから、溜まったら自分で押して涎をたらさないようにするんだよ。』
と言って、持っていたボタンを智美に手渡したあと、次の仕込へと取り掛かる。
『智美って今コンタクトだよね。このコンタクトに付け替えてよ。』
智美は彼からコンタクトを受け取り、つけているコンタクトを外して受け取ったコンタクトを装着した。その瞬間はっきりと見えていた視界が黒い霧がかかったようになり、かろうじて足元が見える程度しか見えなくなった。
『少しは見えるかな?』
と聞いてきたので、智美は『ハイ。』と意思表示する意味で首を縦に振った。
『そっか、それはよかった。本当はもうひとつのまったく見えないほうにしてもらおうかとも考えたんだけど、今からの移動してもらうのにそれだと私が大変になるからね。暫くはそっちのコンタクトで我慢してね。今から智美は私が解放するまですっとその視界以下の世界の中で過ごしてもらう予定だからさ。それと一応これも持っておいてね。』
と言って視覚障害者用の折りたたみ杖を手渡した。
『次はこれをつけて。』
と言ってワイヤレス型のイヤホンが手渡され、智美はそれを両耳へ装着した。その瞬間外部からの音がほとんど聞こえなくなったのだか、
『ちゃんと聞こえてる?』
と言うYの声だけは、はっきりと聞こえてきて見えない視界で、ぼんやりと見える人影のほうに視線を向ける。
『聞こえたら首を縦に振ってね。』
と、また聞こえ智美はその人影に首を振って答えた。
『よし大丈夫そうだね。とりあえず、駅を出て移動するから。』
と、Yに促がされYの手にしがみ付くように立ち上がり見えない視界で一歩を踏み出した。
『今智美は後戻りの出来ない自由の許されない世界の扉をくぐってしまったんだよ。楽しみだよねえ。』
と言うYの声を聞きいて、ゾクリとした快感を覚えていた。
作:Satomi


















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