~第一段階操縦~

『はぐれちゃったね。智美。』

 うなだれ座り込んでる智美の耳にYの声が聞こえてきた。

「あうう・・」

 困り果てた矢先Yの声が聞こえた事で思わず名前を呼ぼうと声を出してしまっていた。声を出してすぐにしゃべれない事を思い出し、慌てて口を塞ぎ周囲を見回す智美であったが、周囲に人の気配はなかった。

 Yに問いかけようにも意志を伝える手段もなく途方にくれる。

『じゃあ、今から一度だけ説明するからちゃんと聞いてね。』

暫くしてまた声が聞こえてきた。周りを見回すがやはり人影らしきものは見えない。

(話しかけてくるってことは、私が見えているっていうことでいいんだよね。)

そう思い込むことで不安を打ち消しながら次の言葉を待った。

『じゃあ、一度しか言わないから、ちゃんと覚えるように。間違った動きをすると制裁を与えるからね。』

その場で頷く智美。

『移動の指示はすべてディルドで行なう事にするから。』

『まず、ディルドがゆっくりと振動しだしたら歩きはじめなさいという意味だよ。回転している間は足を止めるのは禁止。ずっと歩き続けるように。』

Yに見えているかどうか分からないが素直に頷く智美。

『次にディルドの振動が止まったら、その場に止まれって意味だからすぐに止まるように。止まらないと危険があるという事もあるから、これは絶対すぐに止まる事。』

尿意と便意に耐えながら必死に頭の中で理解しながら頷く智美。

『ディルドが強く2回振動したら右に方向を変える事。3回振動したら左に方向を変える事。』

(右が二回で、左が三回か。)

『アナルプラグが1回振動したら、その場でしゃがめって指示だよ。』

『アナルプラグが2回振動したら、その場で立ち上がってという指示だよ。』

『アナルプラグが3回振動したら後ずさるように進めって指示だからね。』

『くれぐれも間違ったら、制裁だからね。』

という指示が流れた後アナルプラグが2度振動した。便意も差し迫っていたために振動が苦しい。だからといって時間がかかってしまっては指示に従わないと言われて制裁も受けかねないので、慌ててその場に立ち上がる智美であった。

 立ち上がると同時に、ディルドがゆるく作動した。

(ゆるく振動は歩けだったよね。)

わかってはいても、尿意と便意が強くて足が踏み出せない。暫くそこで動けないでいるとディルドに激しい電流が流れそのショックと痛みでまたその場にへたりこんでしまった。

 へたり込むと同時にアナルプラグが2度振動した。

(立ち上がれって、こんな状態なのに・・・。)

内心苛立ちを覚えながら立ち上がり、ディルドの振動は続いていたので歩くしかないとゆっくりと足を進める智美であった。

 満身創痍の状態で早く歩けるわけもなく、ゆっくりとした足取りで前に進む。何歩か進んだ時点でディルドが強く2回振動しその後も緩やかに振動している。

(右に向きを変えて歩けってことなのね。)

と思いながら右に向きを変えて歩き続ける智美。尿意と便意にも強弱があって強いときにはほとんど足を動かすのも苦痛なくらいになるが、少し治まると多少の余裕が出てくる。そういった感じが不規則に続く中歩き続けていてていた。

 普通の状態であるのなら、今のディルドのゆるやかな振動でも、何度かエクスタシーを感じている智美であれば充分追い込める振動であったが、尿意と便意が感情の昂りさえ抑制してしまっていたので、その振動はただの苦痛以外のなにものでもなかった。

 全身不快な感じの中、口内も唾液が溜まってきたため、排出を促すためにゆるく振動するディルドを締め付けた。締め付ける。

 口内の不快感が消えていく。それと同時に排尿している感覚が智美を襲う。

 ブルッと震え排尿している感覚が気持ちいい、しかも尿意が薄れていく。

(あれ、出せてるの?)

尿意だけ薄れているのかと思えば限界近かった便意も若干薄らいだ感じがした。その代わりお腹の中に何か生暖かいものが流れ込んできている感じもしていた。

 システムは切り替えられていた。そのためディルドを締め付けたことで排尿用の弁が開き、アナルプラグの弁も開いていた。膀胱のほうは尿道プラグこそ縮まないが排尿は出来るように設定が変更されていた。アナルプラグのほうは便意が少し感じる程度まで膨張させていた液体が腸内に排出された時点で弁が閉じていた。

 膀胱と直腸の切迫した圧迫感が消える爽快感で幸福感を得ていた。今まで不快でしかなかったディルドの緩やかな振動は、制御のスイッチが切れたかのごとく快楽をもたらし、智美にくすぶっていた快楽の波を一気に引き戻し、

(嗚呼、いく~~)

と心で叫びながら智美は一気にエクスタシーの波に飲まれたのであった。

 不意を打たれて逝ってしまったものの、快感に追い込まれ続けたあとの波ではなかったので、まだ意識は保てる程度でのエクスタシーであったのが幸いではあったが、智美は身体が小刻みに震えるままそのまま歩き続けていた。

 ただ膣が収縮するので緩やかに振動するディルドを無意識に締め付けてしまうため気持ちのいい排尿感とゆるい振動を受けつづけ更に深いエクスタシーの扉を開きかけ、慌ててディルドの締め付けをやめるしかない智美がそこにいた。

 

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